NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017 7本目 【東京】 国立代々木競技場 第一体育館

※※※本記事は現在ツアー中のLIVE ZIPANGUのセットリスト及び演出について触れています※※※※ネタバレ要注意※※※※※

 

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NEOGENE CREATION

 本記事は2016年12月21日発売、水樹奈々さんのオリジナルアルバムNEOGENE CREATIONの収録曲および初回版特典映像の内容に触れています。ご注意ください。

 

 通算12枚目となるアルバムは発売前から、甲子園球場で初披露された『STAND UP!』やリード曲である『絶対的幸福論』などこれまでとは一味違った楽曲に期待値は否が応でも高まっていた。

 奈々さんのアルバムやシングルといった作品はランク付けがうまく機能していないように常々感じている。それぞれがそれぞれの良さがあり、もちろん“好み”という枠で捉えれば順位付けもある程度発生するかもしれないが、聞くタイミングでその好みが大きく変動するし、もっと言えばこれまであまり得意でないジャンルの曲すらも奈々さんを通せば新しい発見として、自分の“好み”が広がっていく。

 

 今回も、どんな発見があるのか。どんな進化があるのか。期待に胸を膨らませながら聞いた。

 

01.めぐり逢うすべてに

 タイトルから、てっきり暖かくて柔らかいバラードだとばかり思っていた予想を第一声から打ち砕かれた。

 いつも笑顔で明るく、楽しいことが大好きな奈々さんの姿を見ていると、ついうっかり抜け落ちてしまう部分に気づかされた。声優として、歌手として、常に第一線で、常に未開拓の地へ第一歩を踏み出すための勇気や努力がどれだけ大変だっただろうか。不安なこともつらいことも、こちらが想像し切れない程あって、それは今も変わらずきっとあるのだと思う。それでも奈々さんは真っ向から向き合って、立ち止まらず、突き進む道を選び続けていくことを決めた。その、強い意思と決意。限りなく地声に近いに真っ直ぐな思いが込められた力強いバラード曲が、まさに1曲目に相応しい楽曲である。

 

02.STAND UP!

 甲子園球場で初披露され、先日放送されたFNSでテレビでも披露された一曲。奈々さん自身がこの曲のためにアルバムを作りたいと公言している通り、これまでになかったクセのあるテイストながらも、どこか安心感のある応援ソング。個人的には少年少女時代の自分が、大人の自分に向けて歌っているかのような印象が強い。そしてやっぱり奈々さんには応援ソングが似合うなあと再認識した。底抜けに明るい歌声の中の、言葉の説得力が群を抜いている。

 ライブではぜひ拳を突き上げて聞きたい一曲。

 

03.Please Download

 ボーカルにエフェクトをかけたこれまでになかった一曲。音楽のことは素人なので詳しいことは分からないが、ずっと奈々さんの歌声は加工をしても映えるだろうなあと思っていたので、実現して嬉しいことこの上ない。エフェクトをかけるとPerfume色が強くなるという印象だったが、そう思うとエフェクト=Perfumeという図式を作り上げたPerfumeってすごい。

 とはいえ、そこまでPerfume感はないのでは?と思う絶妙なエフェクトだと思う。女の子らしい歌詞のため、通常の歌声だと甘くなりがちになるところを巧みに爽やかさを取り入れながら落ち着きも加わっているという印象。ライブではダンス曲になるらしいので、今から振り付けが楽しみ。(やっぱりPerfumeっぽくなるのだろうか)

 

04.ALONE ARROWS

 奈々さんのブログでCrescent Childの主人公が大人になったらという設定、という文面を見てから楽しみで楽しみで仕方なかった。まずはCrescent Childの主人公が相変わらずもがいている様子で安心した。タイトルから孤独感はひしひしと伝わっていたけれども、大人になったということはよりこじらせているのだろうなあとは予想していたがその通りであった。そして丁度よい悲壮感と焦燥感があって、胸が熱くなる曲の流れがかっこいい。

 こういう楽曲は頭から終わりまでの疾走感があるから下手に重くならないのがうまく作られてるなあと感じた。

 

05.TWIST & TIGER

 矢吹節、まさに炸裂の一曲。アップテンポなのに言っていることがなかなか重い。こういう曲はともすれば、メロディだけに集中してしまいがちなのだけれどもさすが矢吹さんと言うべきだなあと唸った。言葉遣いにむしろ、言葉から音が聞こえているように感じられるからすごい。全体的に小気味良い、という表現が似合う気がする。

 ところで歌詞カードを見ていて一点疑問に思ったんだけれども<ミカタばかりじゃない 向きになったら思うつぼ>の<向き>って腹を立てることの<ムキ>ではないんだろうか。こちらの思い違いか勘違いだとよいのだけれど。

 

06.Rock Ride Riot

 メイキングで「だらだらした感じ」と奈々さんが発言していたけれど、最初聞いたときは比較的疾走感がある曲だなあという印象があった。聞き手がぼうっとしていると良い意味で置いてけぼりにされるぐらい、いろんな要素が詰まっていて何度も聞きたくなる楽曲。この歌詞を明るいとみるか、暗いとみるかでそれぞれかなり感じ方が変わりそう。

 

07.はつ恋

 来年1月に控えた冬ツアーのビジュアルが公開されていることも手伝って、情景がリアルに思い浮かぶ一曲。大体二次元からの情報で作り上げられてしまっているが、吉原の花魁が叶わぬと知りながらも初めて好いた相手を思って愛のために生きることを決めた、といったストーリーに迷うことなく着地できるのがすごい。それぞれかと思うが、恐らくZIPANGUのポスターをみている方で同じ印象をお持ちの方は多いのではなかろうか。

 大人な和ロックに情感がたっぷりこもった奈々さんの歌声となれば、ただただ圧巻するばかりだ。

 

08.JEWEL

 奈々さん作詞曲。個人的に、生まれからずっと関東圏に住んでいる身としては「ふるさと」がある人、というのが実は羨ましかったりする。奈々さんにとってのふるさとは愛媛で、愛媛に対する愛情を何度も見てきたからこそ、ふるさとに対してあまり実感がなくてもしっくり聞くことができた。

 そして、きっと、お父さんに向けて書いたのだろうなあと思うと優しくて切ない気持ちになった。メイキングでは収録時にタイトルが決まっていなかったが、JEWELという響きは煌びやかな装飾品という意味を持つのに、もっと素朴で柔らかくて、イメージとしてはスノーダストのように目の前にきらきらとした光の粒が舞っていくような景色が浮かんだ。たくさんの優しいJEWELを纏った姿をぜひステージの上で聞きたい。

 

09.UNLIMITED BEAT

 普段ならば数ある“激アツ曲”の一角になっていたであろうが、全編を通すとひと際目立つ立ち位置にいることが分かる。また、言ってしまえば同じカテゴリーに分類される曲というのは奇抜なことをし過ぎると浮いてしまうし、かと言って類似曲との差別化も図るという点においてかなり難しい。

 今回、一番惹かれたのは間奏の(wow wow wow)部分。秘めた熱量を解放していく高揚感は音源で聞いただけでもテンションがあがり、ライブで聞いた時の爆発力が楽しみである。

 

10.WAKE UP THE SOULS

 挑発的なメロディに駆け抜ける歌詞がクールな一曲。こういうアツさがあると奈々さんの楽曲の幅の広さが感じられて、特にライブ栄えしそうだなという印象を受けた。

 あまり言葉に表現するより聞いて、音に乗って気持ちを高ぶらせるのにぴったりなように思う。ぜひメガホンやらスタンドマイクやらで、がっちがちにかっこよくキメて思いっきりカメラに向かってドヤ顔をかましまくって欲しい。

 

11.STARTING NOW!

 唯一のシングル曲であり、既存曲。タイアップがついていることや聞き込んでいることもあって、明快で爽快な一曲。青空に真っ直ぐ突き抜ける歌声はいつ聞いても気持ちがすっきりする心持である。

 そして奈々さん作詞の歌詞がとても良い。奈々さんがこの歌詞を書き、奈々さんが歌うからこそ大きな意味を持つ言葉がたくさん散りばめられていて、奈々さんが手に入れたたくさんの強い思いにいつも背中を押されている。

 

12.GLORIA

 あれ、何かの主題歌だったっけ?と思わずタイアップ情報を確認してしまった。いい意味で曲の流れに裏切りがなく、安心して熱量を高められていける曲。やはり熱い曲には少し切なさがある歌詞が一番テンションが上がる。女性らしい語尾や言葉選びがあるところもまた良い。

 

13.RODEO COWGIRL

 藤林さんが書く明るい歌詞はなんて共感性が高いのだろうと歌詞カードをみながら何度も頷いていた。ただかわいいだけでは終わらないところが憎い。Aメロの歌詞は反則ものにこちらの心を読みすぎて脱力しまくっていた。

 メロディに関してはメイキングで作曲のh-wonderさんご自身の発言を聞いてああ、そうか歌謡曲か!と胸にすとんと落ちた。そう聞くと冒頭のIce creamも夏のお嬢さんかなるほどなと膝を打った。(違うかもしれないが)奈々さんに歌謡曲を歌わせたら強いことを熟知していて、一歩間違えるとダサくなりがちだが、いい塩梅でダサいまでいかないけど懐かしくてかわいいを表現していて、なんていうか、総括するとめちゃくちゃかわいい。

 

14.君よ叫べ

 奈々さん作詞作曲。まず最初の<時代の鬨の声>に一発で掴まれた。これだからラジオ等で先行公開された曲はおもしろい。たった一つ漢字が分かるだけでガラッと印象が変わる。

 奈々さんが得意としているストリングスを多様した力強いメロディラインに、負けないインパクトの強い言葉たちが全体をまとめあげている印象。

 それにしてもエゴアイディールの時から思っていたが、いい意味でクセの強い言葉を躊躇なくチョイスする奈々さんの感性がすごい。個人的には<明日に繋がっていく spiceになる>が一押し。

 

15.絶対的幸福論

 

 もうほかに何も言うことがない。とにかく、全ての優しさを詰め込んで暖めてふんわり包んで奈々さんが歌っているという絶対的幸福論が絶対的に幸福。

 ようやくCD音源で聞けたなあと、何だか感慨深かった。

 

◆MUSIC CLIP「絶対的幸福論」

 Short ver.から幸福度マックスでこれ以上はもう幸せ過多で受け止めきれないと思いつつ再生したら本当に溢れ出て奈々さんの涙も溢れ出ててそれが目の前に高画質であるということに跪いて感謝を申し上げたありがとう。(一息)

 

◆「NEOGENE CREATION」MAKING MOVIE

 つい、いつもの調子で10分程度のジャケット撮影かと思いきやレコーディング映像から、もちろんジャケット撮影も収録されていてメイキング厨としては、申し分ないどころかこのためだけに別途振り込ませて欲しいとすら思った。

 語りだすと止まらないのでポイントだけまとめる

  • 奈々さんの私服がいっぱい見られる(超幸せ)
  • 奈々さんが仕事の話をしているのがいっぱい見られる(超幸せ)
  • 普段見られない作曲や編曲の方がきちんとフューチャーされてる(超ありがたい)
  • ジャケット撮影での髪色がなぜかやたら茶色い(結構びっくりした)
  • ただただひたすら満足度が高い時間が見られる(超幸せ)

 

◆TEAM MIZUKI 富士山頂への道

 こちらは8分程度とやや短めながら、自然体の奈々さんが大自然にいるという大正義。欲を出せば、うどんとカレーを食べるシーンをもっと長くして欲しかった。

 

NHK水樹奈々 in 新居浜のど自慢延長戦」ダイジェスト

 みたい部分がきっちり収録されていて、見れなかった方もいるだろうからサービスっぷりに感謝。

 

 

◇アルバム総括◇

 さすが15曲中14曲が新曲、と思いつつそれ以上に何とも凝縮されたアルバムだと思ったら、1曲も5分を超える曲がないということに気づいた。果汁でいったらもう100%を超えているんじゃないかと思うぐらいの濃密な一枚だ。一瞬の気も抜けないぐらい畳み掛けてくる楽曲たちは、通しで聞き終えた時には心地の良い疲労感すら覚えた程だった。それぐらいどの曲も休ませてくれない。全てがトップスピード。また新しい音の世界に連れて行ってもらったなあ、という印象が強いので、早く聞き込んで一緒に走ってみたいと思った。

 そして聞きながら当たり前のように、この曲がライブで披露されたらどうなるんだろうか、と想像していて気づいた。全部の楽曲が想像力を掻き立てる強い力を持っているという事実が何てすごいのだろうと。さて、ライブではどんな風に演出され、表現されていくのか、楽しみは尽きない。

 

◇特典映像総括◇

 GALAXYのメイキングあたりから色濃くなったように思っていたが、ここにきて“チーム水樹”を明確に打ち出すようになったと感じた。奈々さんにしか焦点があたっていなかった部分から、全体を出すことによって作品に対する付加価値がさらに向上し、アルバムを最初に聞いてからメイキングをはさみ、もう一度聞くと全く違った角度から曲を聞くことができるというのは何と楽しいのだろうと感動した。聞き手が音と言葉だけで膨らませるのもひとつの楽しみ方だが、メイキング厨としてこういう世界観の広がり方は大歓迎である。ぜひ、次の映像作品にも取り入れて欲しい。

 富士登山の映像も同様で、チームの微笑ましい姿を見るだけで楽しい。もうできる限り出資するから修学旅行にも行ってもらいたいレベルである。

 

 新 第三紀水樹奈々の進化は止まらない。その進化はただ上を登っていくだけではなく、前を向くこと、横に膨らませること、そして時に後ろを振り返りこれまでの道のりを確認することでもあると感じた。

 この進化した音の世界はまだまだたくさんの発見があるに違いない。終わらない楽しさが、また始まる。