CANNONBALL RUNNINGの話がしたい

 ついに待ちに待ったこの日がやってきた。前回のNEOGENE CREATIONから約三年。発売日的にも2016年12月21日だからかなり誤差少なめの三年である。社会人になると三年という月日の流れに慣れてきてしまうものだが、学生からしてみたら三年も経つと進学したり就職したりと環境ががらっと変わるわけだから結構長い。いやまあ社会人になっても長いか。
 
 待望の13枚目のオリジナルアルバム、CANNONBALL RUNNINGが本日発売された。先行配信になっていた楽曲もあるが、満を持して収録された17曲を聞いて、すぐさま著しい語彙力の低下に襲われた。さらに追い打ちをかけるように特典映像であるナナラボを見てしまった結果、感情の制御機能が完全に崩壊した。しんどい。最高すぎてしんどい。あえてこの冷静さを欠いた状態でアルバムのレビューを始めてみるわけだが、最後まで走り切れる自信が今はない。それぐらいにこれまでのアルバムとはまた違った音の熱量、方向性、力強さや優しさ、メッセージ性など様々な思いがのせられた楽曲が勢揃いしていた。
 
01.Higher Dimension
 奈々さんのオリジナルアルバムの一曲目といえば、壮大で叩きつけるような熱量を持った楽曲や、そうかと思えばバラードから始まってみたりと何にしてもインパクトがかなり強い曲が多い印象だった。
 この、軽快で急にハイテンションになりすぎないワクワク感、これから始まっていくぞ、という足並み揃えて少し小走りに前へ進んでいくテンポがアルバムの始まりを飾るというが逆に新鮮だ。これから全速力で走り抜ける助走として非常に軽やかで耳に心地がいい。
 
02.カルペディエム
 初めて聞いたとき思わず「おお」と声が出てしまった。全力で走り出したと思ったら、走り方も、走る方向も想像と全く違っていた。ツイッターでちらほらみかけたボカロ曲っぽい、といういのがなるほど確かによく分かる。個人の見解だが脳漿炸裂ガールやロストワンの慟哭、千本桜とかのイメージだろうか。世代がバレる。歌詞に「本気出してないだけ」とあるところが奈々さんらしからぬ卑屈さやルーズさがあって面白い。
 こういったトリッキーな曲をあえて低音ベースで歌うからこそ印象的で、あとめちゃくちゃ当たり前のことを言うが、奈々さんの滑舌がめっちゃ良い(小並)
 
03.Love Fight!
 さーーーてかわいい曲がくるかな!!!とタイトルから連想したら、別角度からイントロが流れてきたし、YouTubeで上がっている奈々さん直々に各曲を解説してくれている動画を見たらどうやらダンス曲になるらしくもうどこからびっくりしていいか分からなくなっちゃった。
 アルバムを開始してから二曲続けて低音で、どことなく暗い雰囲気も纏っていることから新しい世界観に引き込んでいくという奈々さんの意図すら感じる。
 
04.DAYBREAKERS
 お待たせしました、水樹奈々ですと急に自分が知っている奈々さんが現れたようで安心した。これが実家か(?)
 この疾走感を安定感があるといえることが改めてすごいなと思わせてくれる一曲。実はEXPRESSで歌われるかなと思ったけど歌われなかった。こういった予想は大体当たらないので慣れている。
 デジタルサウンドと力強い歌声のバランスが非常によく、ジャンル:水樹奈々で、これが実家か(二回目)
 
05.Knock U down
 MVにもなっており、アルバム発売日にして耳慣れた一曲。
 様々なインタビューでも発売と同時に目にすることが増えたが奈々さんの言う「今だからこそできる曲の余白」や「肩の力を抜いた歌」というのと、奈々さんらしさが融合した曲だと感じる。気張りすぎないが、抜きすぎていない絶妙な温度感があって歌詞やMVはかわいいのに、何だか大人っぽい曲だなと思う。
 
06.BLUE ROSE
 ISLANDのライブを見るとこのときの衣装とかめちゃくちゃ好きで、すごいかわいい衣装なのに軒並みかっこいい曲歌う奈々さんが思い出される。始まると最後までドラマティックに展開していってライブ映えするんですねえこれが(実証済み)
 
07.Sweet Dealer
 アルバム曲ないしはシングルカップリング曲だからこその曲というのがあるように、表題曲にはならないが、あ、何かこの曲いいなってなる曲ってありませんか、まさにこれです(語彙力)
 奈々さんって大人なんですが、元気で明るいご本人の性格やラジオやテレビで見る無邪気な姿を見ると大人の定義を忘れてしまうことがままあるんですが、こういった楽曲をたっぷりの表現力を用いて歌われると奈々さんって大人なんだなってなりますね!(語彙力)
 
08.WHAT YOU WANT
 何回聞いても、何度聞いても、無限に好き。頭抱えちゃうぐらい好き。ダメな部分がゼロだ~~~~って諸手を上げて好きと言うぐらい好き。EXPRESS初日でこの曲で開幕したときに頭の何かが焼き切れたなと自覚するぐらい神経に刻み込まれる一曲。何もしつこいとか思わないから次のツアーでもぜひやっていただきたい所存。
 
09.マーガレット
 タイトルから好きだろうと気持ちを高ぶらせて聞いたらこちらもまた良い意味で裏切ってくれた。シンプル。この一言に尽きるわけだが、奈々さんにおけるシンプルというのは様々あって、その中でもここまで音数をそぎ落とした曲をアルバムに収録することが珍しい。ライブにおけるアコースティックコーナーでもなく、THEATERやナナラボのようにコンセプトのあるライブでもなく、音源として聞けることが何だか嬉しい。
 
10.METANOIA -Aufwachen Form-
 目が覚めるようなイントロはライブで積み重ねた重みと、聞き込んでいくほどに曲の展開の熱さを知っているからだろう。今だからこそ言うが、シングルで発表になったとき実はそこまで刺さる楽曲ではなかったのにライブで聞いたらもう楽しすぎてこの曲を聞くとライブ行きたいと頭を抱える体質になってしまった。
 
11.glitch
 中低音なメロディをベースに耳に残る歌詞が印象的な一曲。またこちらもいつもと違うテイストではあるが、どちらかというと理想論やBRACELETといった女性の持つほの暗い感情が垣間見える楽曲にカテゴライズされるのではないかと思っている。ただ、これまでのそういった楽曲は女性が縋るようなイメージが先行していが、こちらはもっと強く自己主張していく感じがしていて、Poison Lily味も感じる。
 
12.NEVER SURRENDER
 実は(?)オーケストラライブでしか披露されてなくてなのは曲にしては逆に珍しいなと思ってしまう。何か奈々さんはこういう曲をバラードとか言い出すから本当にすごいなと。畳みかける曲の展開と壮大さに安定感があるってこれさっきも言ったな(語彙力)
 
13.Light Births Shadow
 第一印象がPerfumeみたいだ!!!!だったんだけど、Perfumeに詳しくないので語る資格はない。
 一口にかわいいとは言い切れない大人っぽさがあるというか、個人的にはこちらの方がダンス曲っぽいのではと思わざるを得ない。Please Download的な。
 
14.REBELLION
 重厚感溢れる奈々さんらしい一曲。ナナラボ見たらそうかアンコールかとびっくりした。行ってないから(根に持ってる)EXPRESSで大変盛り上がった。
 
15.UPSETTER
 アルバムの新曲全てを通じて言えることが、温度感が非常に良い。奈々さんならではの底抜けに明るい応援ソングとはまた違った曲調で進んでいくのが心地良く、また力を入れるために肩の力を抜いて聞ける程良い強さを感じる。
 
16.ALL FOR LOVE
 先行配信、音楽番組で披露されているときから胸を掴んで離さない一曲。これまでの奈々さんのバラード曲とは違った意味での壮大さがあり、アルバムを手に入れたことによりより一層その深い世界観に浸れることができて感無量である。
 ツイッターでも呟いたが、個人的な世界観としてはドラマJINのように現代に生きる仁先生と過去の世界に生きる咲さんとか野風みたいにお互いを阻む障壁がもはや時代ぐらいの規模なんだけど、それぞれの愛情の繋がり自体はとてもシンプル、みたいな感じだから何かもう映画の主題歌か挿入歌になるのではってぐらいの楽曲をアルバム収録曲にする奈々さんすごい(すごい)
 
17.FINAL COMMANDER -Aufwachen Form-
 楽曲紹介動画で奈々さん自身が言っていたように、ここで止まる気はない、まだまだ走り続けていくことを表明したアルバム最後の曲。
 字面も、曲も、歌詞も、全てが強い。その強さを表現する奈々さんの声がそれ以上に強い。ライブでトラック(コンボイ)の上で歌ってるとき、何というかその状況を成立させることは容易くないはずなのに奈々さんだからこそ納得させる有無言わさない力強さを、アルバムの最後に聞いて非常に清々しい気持ちになった。
 

 既存曲と新曲とのバランスの良さがとても良いアルバムだったなと感じた。新しい一面を見せられて、例えば一回聞いただけでは馴染まない曲がきたあとにこれぞ水樹奈々を叩きつける、という流れが多く、もちろん楽曲そのものが多いということもあるが、そういった流れを一アルバムの中で何回も繰り返せる強み。そして何度も聞くうちにそれぞれの良さや味わいをどんどん出してくるし、ライブで披露したときにまた違う世界が見えてまた好きが深くなる楽しみを感じさせてくれる。
 あとはナナラボの影響を強く受けていることが良く分かる。というのもアルバムを一度聞いて、ナナラボを見る。楽曲への新しいアプローチを奈々さんが見出しているのが分かる。そこからまたアルバムを聞き出すと違う印象を受けるのだ。
 アルバムの特典映像にナナラボを入れた意味や意図があると思うと、ますますCANNONBALL RUNNINGが好きになってしまう。

 三年ぶりにオリジナルアルバム。たくさんの新しい音、歌詞が身体に染み込んでいくことが楽しみで仕方がない。
 
 
 流れでそのまま特典映像であるナナラボの話もしようと思ったが、アルバム曲をリピートすればするほど許容範囲をどんどん越えていき語彙力はもうないし、とりあえずナナラボはどの曲も自分が知ってる曲じゃないみたいで頭抱えるほど楽しかったし、これが特典なの????ってさらに課金したくなるほど最高。

 新しい曲、新しいライブ、その新しさに出会う度、奈々さんを好きで良かったとと心から思えることがとても嬉しい。